ヤーコ・セイラック著『オープンダイアローグ』を読了
オープンダイアローグとは、要は対話によって精神疾患を癒すということ。日本では、このことだけが独り歩きし、対話ですべてを解決できると勘違いされているように思う。
原題を直に訳すと、社会的機関における対話というもの。オープンダイアローグという題名は読者をミスリーディングするのではないか!?
対話療法の前提として、支援団体(専門家)と行政と家族(素人)が連携しできていなければいけない。この本は、メディアカルアプローチとしての対話よりも、支援者同士が対話し、連携を深めていくことの重要性を強調している。
もちろん、対話療法の具体的方法についても言及されていますが、それは後半部分であり、前半部分は支援者同士の対話について詳しく述べてあります。
支援者同士が連携が取れていないがために、被支援者がたらい回しにされるということは十分に起こり得る。また、専門家意識が強すぎれば、それは自分の範疇ではないとなってしまう。
対話をするとは専門性を脱するということでもあり、いまその人に必要なことは何かを様々な角度から考察することになる。
では、支援者同士が対話するには何から始めればいいのか。著者は、「支援内容や診断内容が正しいかどうかわからない」「どう支援していけばいいのかわからない」と率直に窮状を述べ、「協力してもらえないか」と素直に頼むことだとします。
本書は精神疾患だけでなく様々な活動の参考になるとおもいます。なお、本書は3部構成で、3部は対話療法の具体的な進め方であるので、専門外の人は飛ばしてもいいと思いました。