労働文化研究院

思考の過程と飛躍の記録

キム・ドゥシク著・山田寛人訳『平和主義とは何か』を読了

 

キムさんは平和主義者なので根本は軍隊そのものに反対なはず、それでも兵役に就く若者を否定することはしません。それどころか、兵役拒否の後に待ち受ける厳しい現実を考えると、代替服務、執銃拒否や自身が平和主義者であることを軍隊内で訴える方がいいととにかく入隊をすすめます。

韓国の兵役拒否者は例外なく実刑となります。前科者となってしまったら韓国社会で社会復帰をすることは相当困難です。事実、良心的兵役拒否が権利として認められている国では、犯罪者にされることはなくても、社会的差別という問題があります。

「兵役は拒否すべきである」「軍隊はなくすべきである」というように平和主義が教条主義化してしまうと、人々が直面する実際が見えなくなってしまいます。なぜなら、平和主義とは良心の問題であり、極めて個人的なことだからです。

反対に、「国家を守るために兵役に就くべきだ」とう主張も人々の実際を見えなくさせてしまう。愛国心にから生じる発想ですが、国を愛するかどうかも個人的なこと。

「個人的な」ということは、個々人によって国家に対する考え方も違うし、何が良いことなのかも違うということ。双方が自分の考えを吊るしておいて対話に赴くしか解決の道筋は見いだせない。

 

 

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